BEATセミナー「ソーシャルラーニングとこれからの人財育成」レポート
移転しました。
BEAT Seminar で幸せな未来は「ゲーム」が創るの監修をした妹尾 堅一郎先生のお話が聞けたり、ソーシャルが教育にどのような影響を与える事ができるかに興味があったため、セミナーに参加してみた。
アジェンダ
13:00-13:15
1. 趣旨説明
山内祐平(東京大学 准教授)13:15-14:20
2. 2011年度BEAT成果報告
報告1:Socla 数学学習 藤本徹(東京大学 特任助教)
報告2:Socla 小論文学習 高橋薫(東京大学 特任助教)
報告3:Soclaプロジェクト学習 山内祐平(東京大学 准教授)
今年度成果の総括と来年度に向けて 山内祐平(東京大学 准教授)14:30-15:30
3. 講演「先端人財育成モデルのイノベーション
〜工業モデルの熟達者訓練、農業モデルのイノベーター育成〜」
妹尾堅一郎(産学連携推進機構 理事長、コンピュータ利用教育学会 会長、一橋大学大学院MBA 客員教授)15:40-16:00
4. 参加者によるグループディスカッション16:00-17:30
5. パネルディスカッション
「ソーシャルラーニングとこれからの人財育成」
パネリスト:
妹尾堅一郎
山内祐平
藤岡慎二(島根県立隠岐島前高校魅力化プロジェクト 教育ディレクター)
司会:
藤本徹
高橋薫
数学のFacebookアプリ 〜 藤本徹(東京大学 特任助教)
開発方針
対象者:数学に苦手意識をもつ学習者層(主に高校生
用途:自宅学習の合間などの短い時間で気軽に楽しんで利用する
テーマ:海洋探索、船を座標上で操作して、制限時間内に宝を手にいれる
目的
本ゲームでは風向きより船の向きを決定して進む方向をきめ、
海上の宝物を制限時間内に手に入れる事を目的としている。
※風向きと船の向きを決め、進む方向を
宝箱を取るとベクトルに関連した?問題を解かせる事により、
知識を深めようとしていた。
ソーシャル
Facebookを使いゲームの外の「他物とのつながり」を
ゲームに組み込んでいる。Playログの共有など。
考察
本来のゲームと比べるとさすがに面白さにかける気が個人的にはするが、
ひたすら教科書を読んで問題を解いていく
という従来の授業の受け方に比べれば断然おもしろいのではないのかなと。
まだまだいろいろ改善の余地はあるとのことだが、
熱中できるゲームをPlayしていたら自然と数学の知識が増えていた
ってのが理想なんだろうなぁ。「信長の野望」とかで勝手に歴史に詳しく
なっていったように。
Facebookを活用した小論文 〜 高橋薫(東京大学 特任助教)
目的
進研ゼミを受けている高校生を集めて、小論文(少子化がテーマ)を書いてもらう。
その際に、Facebookの非公開グループを使用して
高校生同士が課題提出者から提出されたstepごと(下方に記載)にお互いにFacebook
上で突っ込みをいれあい、学習を促進させる試み。
- step詳細
- step1. 課題を理解する
- 小論文の課題で何がとわれているか?をFBにかきこんでもらった
- 提示されている資料からどのような傾向が読み取れるか
- step2: 書くため知識を得る
- 調べた成果をFBにとりあげる
- 少子化の原因と対策の仮説、知りたい情報、データの情報源、データはどのように解釈できるか?
- step3. 整理する
- 少子化の現賃と対策を考える上で重要と思われる項目を取り上げ、なぜ?いつから?どのように?など複数の観点から
- 高校生同士がお互いに、学習をささえあっていった
- step4. アウトライン
- 序論、本論、結論 で記載する内容をFBに投稿。
- step5. 初稿
- 初稿を作成しアップロード
- 清書の前に寝かせる
- 初稿にたいするつっこみ
- step1. 課題を理解する
結果
コメントに対してイイネ!がついたりお互いに励ましあい進捗を共有する事で
従来の個人学習等に比べ学習意欲がより沸いたというアンケート結果がでたとのこと。
考察
SNSを学習にうまく取り入れた例。
こういう事例が多くなり効果的な事がわかれば、従来のように必ず学校いって
机をつきあわせて勉強しなければいけないっていう仕組みも変わってくるかもしれない。
ソーシャルメディア学習を利用したキャリア学習 〜 山内祐平(東京大学 准教授)
目的
高校生、大学生、社会人をFBでつなぎキャリア学習を支援する
参加メンバー
高校生 23人, ボランティア(大学生、社会人など) 32人, ファシリテーター 6人
分析結果
Facebookはクローズドになりがち。雑談を意識的にふやさないと、まじめな話ばかりになってしまい
人によっては発言しずらい環境ができやすかった。
※以前実施した、Twitterは雑談がはいりやすかった。
このため意識的に雑談が多くなるような進め方にしていた。
結果
以下のような思いを持った生徒が増えた。
- 将来への希望の増大がもてる
- 進路決定に対する不安の軽減
- 進路決定に対する相談希求の増大
- 進路に対する外的統制感の増大
考察
横(高校生同士、大学生同士など)のつながりは、縦(高校生、大学生、社会人)のつながりと比べて
確かにあまりコミュニケーション取る機会が少ないので、こういった取り組みが非常に面白く思えた。
自分も高校生の時にこのような取り組みに参加できたらなぁと思う。
是非この取り組みを続けていってもらいたい。
先端人財育成モデルのイノベーション 〜 妹尾堅一郎(産学連携推進機構 理事長、コンピュータ利用教育学会 会長、一橋大学大学院MBA 客員教授)
知を生かす知恵が少ない日本
- 日本では年間30数万件特許を取得しているが【知を生かす知恵】がいまない。
- 発明家は日本にやまほどいるが、発明家を社会の価値にする人材が非常に重要。
教育とは「学習者」の創造
- 学びにワクワクし、学び続ける人を育成していきたい。
- 皆と同じ事がいえて、他の人と違う事が言える事が大事。
- 日本では皆と同じ事がいえるかが、これまで重要視されすぎていた
- イノベーション人材を作る!っていう依頼があったが、画一的な人間を作るという事なので矛盾している
- 体系化されていないから先端領域。
- では、体系化されていないものに取り組める人をどう育てるか?
- 自ら学び、自ら実践していける人材を育てるしかない
- では、体系化されていないものに取り組める人をどう育てるか?
- 体系化されていないから先端領域。
教育/学習モデルを変える
- 知識伝授(教える、教わる)
- 学習支援(学ぶ、助ける)
- 互学互修(学び合い、教え合う)
- 学生と、社会人が学び合うなど
互学互修が今後は重要&ソーシャルラーニングとつながってくる。
定石を学び定石を超えろ
調べ尽くし、考え抜き、紡ぎ出す プロセスを体験する事が大事。
- 既存分野
- 定石はとりあえず頭に入れておくべき。
- なぜならば、定石にやられなくなるから、学んだ方がよい。
- 新しい分野
- 定石をつくるのが、メリットになる。
PDCAをまわす副作用
工業モデル、農業モデル
- 工業モデル
- 標準化、単位化、品質管理
- 農業モデル
- 自ら育つ、環境(風土)整備
スティーブジョブズは育てられるか?
現在は、工業モデルが幅を聞かせている。
農業モデルももっと重要視するべき。
先端領域の人財に求められるのは?
- 知を学ぶ力
- 知を創る力
- 知を生かす力
- 知をつなぐ力(ソーシャルラーニング
現在のモデルを常に批判的にとらえなおし、モデル創新を行う。
そのモデルを創新を行うこと自体をデフォルトとしたメタモデルをいかに構築するか
という能力が重要。
感想
モデルを創新を行うこと自体をデフォルトとしたメタモデルをいかに構築するか
という言葉が非常に響いた。
当たり前のように日々決められている事でも批判的にとらえ日々見直しより良い仕組みを考えれるモデルつくってみたい。これできたら何にでも応用できそうだ。事例を作らなければ、事例を。
余談だが妹尾先生の話はときおりユーモアを入れて説明してくれるので非常にわかりやすいと感じたし飽きない。
プレゼンするときにユーモアを入れるの聞いてもらうためにも非常に重要な要素なのだと改めて実感
パネルディスカッション
藤岡慎二さんから離島復興プロジェクトの紹介
海士町の過疎化を解決するため
離島復興プロジェクトをたちあげた。
プロジェクトでは特産品に力を入れたり、積極的に教育に力を入れることによって
若者の島離れ、またはUターンを増加させようとし結果としてでてきている。
離島振興のモデルになっているとのこと。
今回のテーマである教育では iPadなどやソーシャルの力を使って積極的に授業に取り入れて
教育水準もあがってきている。
島では子供たちに目的意識を持ってもらうために
自分の夢を考えてもらいその夢に実現しているか
を定期的に共有しあう事で、早くから夢を持って行動してもらおう
という仕組みもつくっている。
- 特産品のブランド化の懸念
- 特産品を売り出した場合、補助金がなくなると厳しいので新しいモデルを考える必要がある
- 若い頃からビジネスをまなんだほうがよい
- 新しいビジネスモデルが何か考えられないか模索している
- 若い頃からビジネスをまなんだほうがよい
- 特産品を売り出した場合、補助金がなくなると厳しいので新しいモデルを考える必要がある
- 夢を子供たちに持たせる場合に、教える側はどのような事をしていくべきか
- 現状
- 生徒の問題を先回りして調査、研究している
- 学習者も自分が変わるぞ!って意識で生徒に接している
- アドバイス
- 何の職業につきたいか?ではなく、何の仕事をしたいのか?という事を問うのが大事
- 現状
- ソーシャルメディアを使って教育しようとしていたときの生徒達の反応
- ソーシャルメディアを使いたくない(わからないも含む)、目的意識をもとう!といってもついてこない生徒は結構いる。
- 1日1回SNSにログインしてね!さわってね!といっても、触らない人は結構いる。
- 現状対応
- まだ上記に対して具体的な改善策は打てていない
- アドバイス
- デジタルデバイス格差(iPadなどを使える使えないか問題)
- 時間がたてば自然と解決できると思われる
- 夢、悩み格差(目的意識を持とう、という場合の意欲問題)
- 無理やりやらせるため、脱落(ついていけない生徒)が出る
- 皆同じ事をやらなきゃいけないか?っていう事を考えないといけない。
- 様々な人がいるから、様々な人に対する 学習環境 が必要
- 時間の多様性(人によっては習得したくなる時期が違う可能性がある)を考慮する必要がある
- リカバリーショック、学び直したい!ってときに、学べる環境があるかどうかが大切。人によって発展の時期が違う
- デジタルデバイス格差(iPadなどを使える使えないか問題)
- ソーシャルメディアを使いたくない(わからないも含む)、目的意識をもとう!といってもついてこない生徒は結構いる。
- 早めにキャリアを決める事について
- 高校生のうちから留学希望の人たちがいて「将来はこなるために留学したい!」という子達がいた
- あまりにもかたいなーっていう印象
- 留学して何かかわるんじゃないか?っていうわくわく感がいいはずなのに。
- 自分が変わる事自身にワクワクできる事が非常に大事
- なので早めにキャリア決めるのは、それはそれでどうかな?って思う事もある
- 高校生のうちから留学希望の人たちがいて「将来はこなるために留学したい!」という子達がいた
- 夢を1つに決めてしまう事について
- 夢を決めたら義務になってないか?夢を決めすぎるってのはよくない
- かわってもよいんですよ、世の中がこんだけ動きが早いのだから、夢の蓄えがあれば対応できる。
- 夢 -> 構想 -> 企画 -> 計画 このルートがわかっていれば、夢がどんなにかわっていたも問題ない。
- もっと多様な夢をもちなさい
- かわってもよいんですよ、世の中がこんだけ動きが早いのだから、夢の蓄えがあれば対応できる。
- 夢自身をくって生きる っていうのはありなのではないかと。
- 新しくワクワクする事がきまったら、どんどんいっちゃった方がいいよ。
- 目標をもてない自分が悪いっておもっちゃたりする。
- けど、人によってはワクワクする時期がきたら、ワクワクすればよいと思う
- 夢を決めたら義務になってないか?夢を決めすぎるってのはよくない
みんな問題を解決したがっている事にびっくりした話
- 3つのシンドローム
- 問題は与えられるもんだって考えてる
- 与えられた問題には唯一の正解があるとおもってる
- 問題といたら採点したら評価してくれるっておもってる
上記シンドロームにより、問題が与えられる事になってしまって、問題が解決しなくなってしまう
問題を解決するってことは、いいように見えて、悪い可能性がある。
適切な問題を見つけて、解決する能力が大切。
- 課題と問題の違いについて
- 課題は達成するもの、問題が解決するもの
- 問題と、課題は違うものと認識しないといけない。課題解決 って言葉は使わない事
- 理系の人たちは、与えられた課題に対して問題を解決する事にいきがいを感じる人たち
- とりあえず、取り急ぎ、取り繕う -> 出世する仕組みだけれども、、、、
- 問題解決症候群。
- 課題は達成するもの、問題が解決するもの
総括
最近、自分のワクワクする事の一つとして
様々な問題を解決するワクワクする仕組みを整えて実践する
という事があるため、ソーシャルメディアを活用して生徒達のやる気や日常生活を過ごさせる教育の実践例が聞けたのが非常に参考になった。
またワクワクをひたすら探して日々模索している自分としては
妹尾先生がお話されていた
- 夢はかわってもいいし、多様な夢をもっていい
- 夢 -> 構想 -> 企画 -> 計画 このルートがわかっていれば、夢がどんなにかわっていたも問題ない。
- 人によってワクワクする時期がきたら、ワクワクすればよい
というあたりは非常に興味深かった。
ただワクワクをする事に集中しない、とはいっていないのでそこは気をつけなければ。
ワクワクを探し続ける、実践し続ける事は日々続け、
その上でワクワク(夢)を複数持つ、ワクワクを変える
というのはありなのではと、強く感じた。
と考えれただけでも非常に有意義なセミナーでした。
妹尾堅一郎先生、山内祐平先生、高橋薫先生、藤本徹先生、藤岡慎二さん、関係者の方々、どうもありがとうございました!!!