CLGセミナー「優れたデザインが生み出すデジタルゲームの楽しさ」にいってきた。
移転しました。
http://fumituki.jimdo.com/2012/02/24/clg-seminar/
初めて東京大学にいくこともあり、どの入り口から入るのかなどなど彷徨っていたら19時頃会場についてしまった。。
元もじぴったんプロデューサー中村さんの話がすでにはじまってしまっていたので途中から聞いていた事をメモ書きとともに感想を自分の振り返りように記載しておこうと思う。
当日の内容を、NoahさんがTogetterでまとめてくれていたのでこちらもどうぞ。ほぼかぶってたりしてます。。
Toggetter 「もじぴったん」元プロデューサー中村隆之氏に聞く「ゲームデザイン」
アジェンダ
講演「優れたデザインが生み出すデジタルゲームの楽しさ」 途中から
楽しいとつまらないの違い
- 一般の人は「完成した」ゲームしかみていないが、プロは完成するまでの過程のゲームも見ている。
過程も見る事によってよりどうやったら面白くなるかのゲームの本質がわかりそう
- 要素、構造、加減のほんの少しの差がゲームの楽しさ、面白さに与える影響を経験的に理解できる
- 仮説の積み上げ = 経験則
- プロは音にもこだわる
- 効果音などの音素材があがってきて、入れた瞬間にゲームになる! っていう時があった。
- ステージを選択した瞬間から楽しい。プロにとって音っていうのは非常に大事な要素
自分はこの話を聞くまでゲームを作る時に音を必ず作る意味あるのかなぁ?と 疑問に思っていた。
現にソーシャルゲームでも音がないものが結構増えてきている気がするため。
(そういった意味でも中村さん、ソーシャルゲームをあまり好きなのではないのかもしれない)
ただ実際に今日のお話を聞けて「たしかに音は非常に重要な要素だ」と思えるようになってきた。
理由としては下方にも記載するが
音が効果的な例としてスーパーマリオ3DSを取り上げ、自分がアクションした時の音
(コインをとった音、巨大化するときの音、etc)
がユーザーへの快感FBとなりさらに面白さを感じる。
スーパーマリオは中学生以来やってなかったが今度スーパーマリオ3DSやってみよう。
ついでに、ゲームをやらせるなと五月蝿い嫁には内緒でこっそり息子にもやらせてみよっと。
- ちょっとしたさじ加減でゲームが面白くなる
- アーケードゲームと家庭用ゲームの違い
- 家庭用ゲームだと、実際にユーザーさんがPlayするシーンがよくわからないが
- アーケードゲームはユーザーさんが見えるから、フィードバックがわかりやすい。
- お客さんの反応が全て。フィードバックが大きいと良いゲームを作りやすい
- コンピューターゲーム出現の以前、以後の遊び方
- 以前
- 一人で遊べる事はかぎられていた
- 複数人で遊ぶ事が前提。一人だとあそびずらい。
- 以後
- 一人でも楽しい、面白いと感じられる事が革新だった。
- ゲームが審判になってくれる
- 勝負の楽しさ以外の楽しさ、面白さが重視される
- コンピューターゲームの基本は「一人でも楽しい」事 ※複数人で楽しいのは当たり前
- ソーシャルゲームとかは一人であそぶもんじゃない?
- そんなことはない。他人の都合をきにすることなく、一人で遊べる。 ※誰か捕まえなくても遊べる。
- 以前
100円1ゲームのアーケードゲームのヒットする3条件
- 遊ぶ前に楽しそう、面白そう、やってみたい、と思われる事が重要
- アーケードは筐体デザインが非常にこだわっていた。( 太鼓でドンが良い例になりそう
- おきゃくさんは先にお金だしてから遊ぶ
- 遊ぶ前に「面白そう」「楽しそう」と遊ぶ前に感じてもらう
- 同時に「自分にもできそう」と思わないと遊んでくれない
- 筐体デザイン、タイトル、アトラクとモード(でも)、見るだけでわかる、感じられる 面白さが必要
- 遊び始めて30秒で、遊び方を理解して既に楽しいと感じている
- チュートリアルとかいれるな、チュートリアルいれたらまけだ。
- お客様は「説明」は読まない
- 操作はなんとなくわかっても、ルールは実は理解できていない状態
- ルールはむしろ楽しさを感じながら徐々に理解する
- ルール以外の楽しさが必要
チュートリアル入れたら負け、とかすごいなぁと。ただシミュレーション系のゲームとか
ゲームの特性によってはチュートリアル等の説明がないとさすがにPlayしてもらうのも難しい
とも思った。
けどまぁ、チュートリアルなくて遊べるゲームが確かに一番すごいよね。
- 3分でゲームオーバーになる時にはもう100円入れたくならせるのが大事。
- 失敗時の演出が超大事!!!
「楽しい」と感じる状態とは?
- 主に自分の行動を通して持続的に感じる心地よさ
- 行動 -> 行動により快感が得られる -> 快感 -> 快感への期待から行動する -> 行動 のループ
- これが、楽しくてはまっている。
- 行動 -> 行動により快感が得られる -> 快感 -> 快感への期待から行動する -> 行動 のループ
- ゲームで得られる快感にはどんなものがあるか?
- 達成感、成長感、勝利の快感、爽快感、連続でできる快感、敵を倒す快感、集める快感、リズムにのる快感、破壊の快感、狙い打ちの快感、謎解きの快感、etc
- 快感と音は密接に関係している!!!
ゲームにおける「達成感」とは?
- 達成感種類
- ゴール、ミッション、ステージクリア、レベルクリア、エンディング
- 課題、ハードルを乗り越えていってゴールする、これが達成感を引き立てる
- 強い達成感を得るためにはある程度のストレス、障害が必要
- 簡単すぎるとつまらない。ただ、難しすぎてもつまらない。
モチベーション3.0 でも同じような事が書かれていたっけな、そういえば。
やさしすぎず、難しすぎず。適切な難易度が内的動機付けを刺激する。
ゲーム内の手段、目的の関係とストレス
ゲーム内の手段と目的の階層の説明
- 操作 -> ボタン押す
- 手段 -> アクションする
- 小目的 -> うまく障害物さける
- 中目的 -> ステージクリア、中ボス倒す
- 大目標 -> オールクリア / エンディング
- 最初の30秒で楽しいゲームデザイン
- 操作、手段、小目的に快感が伴うかどうかがキモ!!
- マリオはコインとったり、ジャンプしたときの音が本当にきもちいいから、30秒でも楽しいと感じられる!!!
- 操作、手段、小目的に快感が伴うかどうかがキモ!!
CityVileもこのあたりうまい気がするなぁ。
あまりゲームやらない友達とかもはまってる。
- スーパーマリオ3DSは快感の連続
- 1-1が快感にあふれすぎている
- コインをとる、踏みつぶす、キノコとる快感、連続で取る快感、ブロックくずす快感、コインを連続でとる快感、etc..
- 並のデザイナーはこの手の快感は 5-X とかじゃないといれない。宮本さんすげー、という話。
- 1-1 にこんだけの快感があるから、ゲームの虜になる
- 自分の子供にやらせたらずーっと1-1やってる。これが素直な反応。
- 1-1が快感にあふれすぎている
楽しい失敗?
- MINDラボ の研究結果
- ゴールをしたときに快感がえられると、事前の予想をたてたが
- 失敗しておちていくときに、ほぼ同様かそれ以上の快感がえられる事がわかった。
- ゴールをしたときに快感がえられると、事前の予想をたてたが
- 失敗したときの演出を手をぬくと、お客さんがみるみるいなくなってしまう。
- なぜなら失敗するユーザーがゲームでは多いのだから。
- 失敗したときの演出にとても注意を払う
- なぜなら失敗するユーザーがゲームでは多いのだから。
知的な遊びにコンピュータゲームがむく理由
- 何度も間違えて失敗してもよい = 取り返しがつく ため再チャレンジしやすい
- 継続して取り組める。
- ファミコンはリセットボタンの位置が非常に押しやすい位置にあるから良い。
- とりあえずやってみる/試しにやってみる事が「気軽」にできる
- 失敗したら「ペナルティ」もよいが「取り返しがつくようにする」ことが大事
- 事例
- ドラクエ:パーティーが全滅したとき、もってるお金が半分。それ以外のペナルティ無し。
- ポケモン:集めたカードは全滅しても、同じ。
- 事例
「取り返しがつくようにする」ことにより、やる気が持続するのだろうと。
たしかに、FF2,3とかの最終ダンジョンでずっとセーブできず最終ボスで死んだ日には
やる気ほぼ0になったりしたもんな。
楽しい 失敗 の演出例
中村さんが「まけた」と思うよくできたゲームの例
ゲームデザイン / プレイヤー行動を時系列で見る
以下はゲームのPlayする際のプレイヤー行動を時系列にしている
- あそぶまえ
- あそびはじめ30秒
- 失敗
- 失敗しても繰り返す -> 学習・上達
- 上達の成果で達成 達成感を感じる
失敗してもやみつきになってPlayする
ゴールはデジタルゲームで必須ではない?
- ゲームには必ずしも必要ないんじゃないかと考えている
- (本質的には)ゴールのないゲームの例
- テトリス
- ゴール設定も「要素の1つ」
- むしろプロセスや失敗時のゲームデザインが「続ける」モチベーションになる
- (本質的には)ゴールのないゲームの例
スマホ向けゲームの例
- Angry Bird
-
- アーケードのゲーム事案の法則は今も通用する事を感じさせるゲーム
-
ゲームデザインは「おもてなし」の知恵
- かっぱえびせんのキャッチコピー(やめられない、とまらない、カルビーかっぱえびせん)は秀逸
- お菓子界のテトリスだ!!
- ただ、お客さんがやめられない、とまらない、でよいのか?
- 大人は自己責任だが、子供だとよくないのでは?と考えている(中村さん
- 子供用に小分けするように、かっぱえびせんは小さい袋に分けている。
- 小分け重要!!!辞めれるタイミングをつくっている。
- 楽しくはまる...だけではお客様のためにならない
- お客さんにやめる気が起こる場所を提供する事重要。やめやすいって事も重要な事の1つ。
ゲームデザイン概念図(中村流
※写真とっとけばよかった内容。
- 内側(3つの円で表されていた
- 楽しさデザイン
- ルールデザイン
- 学習デザイン
- 上記3つがあわさった部分が「おもてなしの心」
- 外側
- 周りにUIデザイン
- 遊ぶ前に、楽しそう 自分にもできそう と感じさせるデザイン。期待デザイン
- 楽しいだけじゃだめで、おもてなしがないと駄目
- お客さんの遊ぶ環境をしっかり考えて、ゲームを提供しないといけない
- 提供する人の「心」がお客様の「心」を動かす
Game Design は Arts(道)
- 終わりはない。
- 経験と鍛錬の積み重ね
良いことばすぎる。
ディスカッション「ゲームデザインの社会への応用」
ゲーム開発のプロについて
- プロでもお客さんの生の反応をみているか、みていないか、でぜんぜん力がちがってくると思う。
- フィードバックをもらっているか、いないかは本当に大事
- いかに他人に(ゲームを)やってもらってるかが大事。経験年数じゃない。
- ゲームの開発途中の半ばで人に見せる事でゲームが面白くなる事が高い。
ゲームデザインを教育に生かせないか?
- 教育とゲームの組み合わせは基本よいのだが、強制参加になったとたんに「つまらなくなってしまう」可能性がある。
- これが教育にゲームを持ち込むときに難しいと思われる点。
ゲームはアートか、ロジックか?
- アートな部分がある。
- 誰にとって楽しいものですか?っていうのが非常に大事。
- 子供にとって?大人にとって?一人にとって?みたいな視点
- ゲームに究極がないように料理も究極はない。人それぞれで究極がかわってくる
- 料理とゲームデザインはほとんど同じだと考えている
- 良い組み合わせは無限にある、ただ、最小公約数的なものが世の中で売れる
「もじぴったん」が面白い!になった瞬間
- システムが先に完成
- ゲームデザイナーさんが ステージ と 辞書 を作成中
- 最初に動いた時は がっかり した
- 思うように言葉ができない(原因:辞書登録の単語が少ない
- 最初は「あ」から辞書登録していったけど、今度は2語、3語のものから登録していった。
- 辞書登録語数が2万語を超えた頃・・・
- おもってもみない(知らない)言葉ができて、勝手に連鎖する
- 結局これが「もじぴったん」の一番の「ウリ」になった
- 辞書登録語数が2万語を超えた頃・・・
- 最初に動いた時は がっかり した
- ゲームデザイナーさんが ステージ と 辞書 を作成中
音以外のものでゲームに効果的なものはあるか?
中村さんがゲームにおいて関わるもの、関わらないものの線引き
- 自分の子供に是非やらせたいか、やらせたくないか
- ソーシャルゲームについては自分の子供にやらせたくない
医療業界へゲーム活用は可能か?
- 九州大学の久保先生がプロジェクト(ゲームをリハビリに入れる事)でやってる。
- 効果が立証できる、自発的にできる、ていうのがポイントだと思う。
- 現場に導入してみないとわからないハードルはたくさんあると思う。
- はじめてやる物は誰もわからないから、まずは実践ありき。
うまくいってるPJと、うまくいってないPJの差
- ウォータフォールのPJは大概うまくいかない。
- 未完成状態でテストを繰り返す(FBループが多い)PJはうまくいくケースが多い。
結果を出さなければならない場所(たとえば受験勉強する塾)でのゲームは効果がなさそうか?
- 効果がないとは、絶対いえないし、うまくやれば必ず効果がでる。
- ただ、難しいのは 学習塾 みたいなところで実験的にやる事が懸念。
- 導入が難しい。ゲームを作る側もFBを何度ももらわなきゃいけないのに、お金をもらって教えるわけだから。
- アメリカのQuest to learn という仕組みのようにはじめからゲームのような授業があるところは大丈夫かも
- ゲームのような授業がある、とわかって入ってくる人たちだからうまくいくのではないかと
- ただ、難しいのは 学習塾 みたいなところで実験的にやる事が懸念。
中村さんの大学受験の時のエピソード
- 水性ボールペンの空になったボールペンを、みんなお守りとしてもってきていた。
- 自分のやってきたことを視覚化した事が大きい。
- やる本人がゲームだとおもっちゃえば、ゲームになると思う。
最後に
- ゲームは、自らの意思で参加するぞ!って決めた時点でおもしろくなる。
- ゲームをやる人はゲームやるけど、やらない人はやらない。
- ゲーム失敗する人の立場にたって、いろいろ考えた結果、
- 本当にすぐれたゲームデザインは、うまくない人も楽しいと思えるもの
まとめ (というか自分が印象残った事箇条書き (まとめじゃないじゃないか
- ゲーム開発中のFBすごく大事。FB受けて開発すすめないゲームは大抵失敗している
- 失敗したときのリアクションがすごく大事。ゲームうまくない人のフォローが重要
- 要素、構造、ゴールなどほんの少しのさじ加減でゲームがものすごく面白いものになったりする
- ゴールはゲームの面白さを構成する要素のあくまで1つでしかない。(ゴールがないゲーム(テトリスとか)も存在するし
- ゲームデザインは料理を作るのと同じような感覚。
- (ゲームの特性にはよると思うが)チュートリアル入れるようなゲームは負け。
- 本当にすぐれたゲームデザインは、うまくない人も楽しいと思えるもの
- Game Design は Arts(道)。
- 中村さんがまだまだしゃべり足りなさそうだったのが非常に印象的。どんだけ経験値もっているのか、と。もっと聞きたかったなぁ。
- 1500円はらって良い話が聞けて、軽食まで出たのですごい満足度が高い。
最後に、中村さん、藤本さん、運営スタッフの方々、ありがとうございました!!!